茨城県北部の大子町(だいごまち)にある漆の森に、代表の清川とNPOのスタッフが訪れ、大子の漆産業の現状についてお話を伺ってきました。
大子町は、町内に久慈川を有する自然豊かな土地で、岩手県の浄法寺に次ぐ漆の生産量を誇る漆の一大産地でもあります。
しかし、大量生産・大量消費の波に押され漆林の規模も縮小。今では漆掻きとして生計を立てる職人は、片手で数える程度となり産業としての持続が危ぶまれています。
そんな中NPOでは、自ら漆掻き職人として約70年のキャリアを持ち、漆林の維持と拡大、後継者育成を行う飛田祐造氏(写真右)や大子漆保存会会長、大子漆を使用した作品作りを行う大子漆工芸くらぶ会長、そして大子町林政担当の皆様にお会いし、漆掻きのお仕事や大子漆を取り巻く現状と課題についてお話を伺いました。
漆産業は一度衰退してしまうと再生が難しい産業の一つ。漆の木は、植樹後10年経たないと漆が採取できないため、10年間は収入が得られないことから新規の職人希望者が参入するには高い障壁があります。
そこで飛田氏は、漆掻き職人になりたい人が現れた際にすぐに収入が得られるように、精力的に漆の木の植樹を行ってきました。
現在では飛田氏のもと漆掻きの技術を学び独立をされた方や、都心から大子町へ移住をした若手が現れるなど、少しずつ広がりをみせています。
しかし、苦労して漆掻き職人となっても中国産の安価な漆の影響もあり、コストに見合う価格で販売することができないことも大きな課題となっています。
取材の最後には、一般社団法人 大子町特産品流通公社様を訪れ、大子町の産業について学ばせていただくとともに、私たちの活動について説明をさせていただきました。
NPO法人ROLEでは、今後、漆産業の現状と日本産漆の正しい価値を広く伝えるとともに漆掻き職人の方々が仕事を持続できる環境作りを大子町の皆様と共に行っていきたいと考えています。
取材協力
・大子漆保存会 様
・大子漆工芸くらぶ 様
・大子町農林課 様
・一般社団法人大子町特産品流通公社 様